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〇運動と疲労
 
疲労という言葉の意味は、「病気以外の原因によって作業能力が一過性に低下した状態」と、医学用語辞典には記されています。これをスポーツで考えてみると疲労とは、「激しい運動によって疲労感を伴い、競技パフォーマンスが低下した状態」といえます。ある程度の運動で身体が疲労するのは当然ですが、その後の十分な休養,栄養をとることによって競技パフォーマンスは回復し、以前より高いレベルに達します。しかし、運動強度や頻度,時間が過剰に多くなってくると、各要素のバランスが保てなくなり、競技パフォーマンスは低下していきます。競技能力を高い状態で保つには、これらのバランスには日頃から十分に注意し、疲労によるパフォーマンスの低下を防がなくてはなりません。そのためには、選手自身にも疲労に対する注意力を高めるよう、指導する必要があります。また、栄養(食生活)に関しては、ある程度選手に任せる感じにはなりますが、練習内容と休養のバランスは指導者が調節することになります。もちろん、栄養面に関しても何も指導しないということではなく、各競技の食事方法を説明する必要がありますので、すべての要素で指導者の指導能力が問われることになるでしょう。また、スポーツ疲労の特殊な原因として、選手達の疲労を訴えることへの抵抗感があげられます。なかなかチームの指導者には疲労感を訴えることができず、とくに中高生の部活動についてはレギュラー,ポジション争いに専念するあまり、限界まで平気な状態を装うケースが多くあります。さらに、それに気付かないで指導者がゲームのメンバーに選出し、極度の疲労から十分なプレーができなかったり、ケガを引き越してしまったりという結果になってしますのです。
 疲労することは、運動した結果として当然のことです。大切なことは疲労を蓄積させないことであり、その原因を把握して対処することにあります。スポーツ疲労の定義づけは難しいものがありますが、今回の特集では疲労とその対処方法を解説していきますので、現場の対応策として活用して頂ければ幸いです。
 
〇疲れる理由
 
 一般人の健康維持,増進及びスポーツ選手の競技能力向上には、運動・休養・栄養のバランスが重要になります。簡単に説明すると、これらの要素に偏りが発生した場合に、何らかの問題が発生してくるのです。一般人に多くみられるのが、栄養過多で運動量が極端に少ないことで引き起これる生活習慣病などで、スポーツ選手にはトレーニングと休養のバランスが合わないことで引き起こされる、オーバートレーニング症候群です。どちらとも各要素のバランスが崩れることが要因であり、どれが多くても少なくても問題が発生します。
スポーツ選手の場合、これらの各要素が高いレベルで保てれば良好なコンディションが維持できます。しかし、スポーツ選手は日頃から過剰なトレーニングを行っていることが多く、それに見合った休養や栄養がとられていないのが現状です。スポーツ疲労というと、単に練習のやり過ぎというイメージがありますが、それよりも練習に見合った栄養や休養をとれていないことが主な原因といえます。

〇疲労のメカニズム

 一言で疲労といっても、その原因はいくつかの理由が考えられます。疲労とは、三要素である練習・休養・栄養がバランスを崩すことによって引き起こされますが、どの要素がバランスを崩したかによっても疲労の種類が異なってきます。練習量が多すぎて栄養や休養をいくら積極的にとっても、バランスが保てなくて疲労してしまう場合、これは純粋にオーバートレーニングです。休養が不足している場合に引き起こされる疲労は、トレーニング量は適切であっても疲労物質の蓄積によって発生します。栄養の不足した状態では、そもそもの筋活動を行うエネルギーが十分でないために、運動を続けることに疲労を感じてしまいます。また、水分不足も疲労の原因になることを忘れてはいけません。水分は体温を調節するという重要な役割を担っていますので、十分に注意するようにしましょう。
これらの疲労の理由はこれから詳しく説明していきますが、どれも単独で起こるというよりは複合的に発生しますので、各要素のバランスに注意するようにして下さい。

続きは次回、、、

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