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●ぎっくり腰とは?

重い物を持った拍子に突然腰が痛くなり動けなくなってしまう。そんな恐ろしいぎっくり腰、正式には急性腰痛と言います。読んで字の如く急激に発症した腰痛を指し、欧米ではその激しい痛みから「魔女の一撃」とも呼ばれます。
多くは一週間~二週間程度で自然に回復していきますが、時間経過によって改善が見られない、または下半身に痛みやしびれと言った症状が出現した場合などは椎間板ヘルニアなどの病気が隠れていることがありますので要注意です。

●どのようにしたらなるの?

患者様から多く聞かれるのは、「重い物を持ち上げた時」、「少しお辞儀をしただけ」「ただ立ち上がろうとしただけ」、「呼ばれて振り返った時」など、 ぎっくり腰が起こる状況は多岐に渡ります。
ぎっくり腰になった時に身体の中では何が起こっているのかは、実ははっきりとしたことは未だ分かっていません。椎間板ヘルニアや圧迫骨折などの病気による痛みをただのぎっくり腰と思って放置してしまうと後で大変なことになってしまうことがあるので早めに専門で診ていただくことをお勧めします。

ぎっくり腰の原因は前述の通りはっきりしておらず、様々な状況で発症します。したがって有効な予防法も一概には言えませんが、日頃から動き方や姿勢に気を付けたり、十分な筋力や柔軟性を保つことが重要だと思います。
具体的には、床の物を拾う際には腰を曲げるのではなく、膝を曲げて腰を落として拾う。持ち挙げた重い物に負けてせぼねが曲がってしまわないよう、腹筋や背筋を十分に鍛える。股関節を柔らかくし、腰の負担を分散させる、などです。

●もし、ぎっくり腰になったら?

動けるのであれば、できる限り通常の日常生活を過ごすよう心掛けたほうが回復が早いという臨床結果があります。逆にベッドでの安静をしていると回復が遅かったという結果が出ています。他の研究を見ても、動けないほどの激痛である場合を除き、安静にしていることは症状を長引かせることがほとんどのようです。
ぎっくり腰の早期回復には普段通りの生活を心掛ける必要があります。楽になるようなら湿布や痛み止めなどを使っても構いませんし、痛みを我慢してまで行う必要はありませんが、軽いストレッチなどを行うのも悪くはないでしょう。温めたり冷やしたりは、より楽になる方を選んでいただければ間違いありません。
ただ、怖いのは椎間板ヘルニアや圧迫骨折などの病気が潜んでいる場合です。あまりに痛みが強い場合や症状の改善が見られない場合などは、自己判断を避け専門の先生にご相談ください。

●コルセットはつけていいの?

たしかにぎっくり腰になった際、コルセットをつけると楽に動けるという方は多いです。ぎっくり腰の早期回復のためには、できる限り普段通りの生活を心掛けることが重要ですから、コルセットで楽になり、普段通りの生活が行えるのであれば、有効な手段であると言えます。
「コルセットをつけていると筋肉が落ちてしまうのでは」と心配する方もいますが、寝たきりにでもなっていない限り、コルセットの装着が直接大きな筋力の低下につながることは考え難いです。ただ、長い目で見ると、身体の使い方が下手になったり、筋肉を上手く使うことができなくなることで、二次的に筋力の低下を招いてしまう事は考えられます。
コルセットをつけないで無理に我慢して痛みを長引かせたり、活動性が下がったりすることの弊害の方が大きいとは思われますが、コルセットに頼らずに済むのであればそれに越したことはありません。痛みと相談しながら徐々に外していくのが良いでしょう。

●どのくらいで痛みが引くの?

ぎっくり腰の大半は数日~数週間で症状が落ち着いてきますが、発症直後の脂汗をかくような痛みは耐え難いものです。
もしぎっくり腰になってしまった時はむやみに動かず、まずは最も楽な姿勢でゆっくりと深呼吸を繰り返しましょう。しばらく繰り返していると、それだけで痛みが落ち着いてくることがあります。
まずは痛みが落ち着くまで深呼吸をして安静にしていましょう。

●マッサージはしていいの?

マッサージが効果を発揮するのはどのような時でしょうか。マッサージには筋肉の緊張を緩め、循環を良くする効果がありますから、筋肉が過度に緊張して痛みを出している場合や、筋肉の緊張により背骨の動きが悪くなってしまっている場合などに有効といえます。
ぎっくり腰の方の大半は仰向けで脚を伸ばして寝るのが困難です。これは筋肉や骨の構造上、仰向けになり脚を伸ばすと腰に力が集中してしまうためです。

●夜の寝る姿勢は?

仰向けで寝ると痛い、また、起き抜けの症状が強い場合は、膝の下に丸めた毛布などを置き、膝が90°程度曲がった状態で寝るのが良いでしょう。また、痛い方を上にして横向きになり、抱き枕などを抱いて寝るのもオススメです。
横向きになり、エビのように背中を丸めた姿勢をとると寝やすかったりします。

●お風呂は入っていいの?

「湯治」という言葉があるように、お風呂に入ることは様々な身体の不調を改善してくれます。ぎっくり腰に様々な原因があり、一概にお風呂が良いとも悪いとも言えませんが、温かいお湯にゆっくり浸かることでいくらか痛みが楽になる方が多いように思います。循環の改善や、浮力によって腰の負担が減ること、リラックス効果で自律神経が整うことなどがその理由として考えられますが、稀にお風呂に入ることで痛みが強くなる方も見えます。
ただし、「腫れがある」、「患部が熱を持っている」などの場合は入浴を避けたほうが良いでしょう。

●何回かぎっくり腰になっているのですが?

過去にぎっくり腰になったことのある方の中には、ぎっくり腰の「前兆」のようなものを感じ取る方が見えます。
ぎっくり腰に限らず、もし腰が痛くなりそうだと感じた時は、生活習慣を見直してみるのがオススメです。姿勢に気を付ける、しっかり睡眠を取る、寝る前にストレッチをする、毎日10分だけでもウォーキングをしてみる、などです。ぎっくり腰は日々の生活の負担が積み重なり発症することも多く、生活習慣を見直すだけでも思いのほか予防することができるものです。

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